中医学(中医学基礎理論・中医診断学・中医内科学)を詳しく説明する一般社団法人国際伝統中医学協会の「中医学大辞典」
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問診

問診とは、医師が患者や付添い人に 疾病の発生、経過、過去に受けた治療、現在の症状など様々な状況を聞いて疾病を診察する方法である。

問診は、中医学において最も重要な診察法の一つである。患者の既往歴、自覚症状、生活習慣、家族歴などは問診により知ることができる。これらの情報は疾病の状況、疾病の部位、疾病の性質を判断するのに重要である。特に情緒の異常や不定愁訴など自覚症状を主な訴えとする疾病に対して、丁寧な問診は最も重要である。

問診する時、主訴に応じて詳しく聞くことは重要であるが、医学用語を用いずわかりやすい言葉で、重点的な質問をしながら、系統的に質問するべきである。その他、患者に共感し、また幅広く助言をして、その信頼を得ることも必要である。そうすれば、患者は心を開き、病状の要点を把握することができる。

一般状況を問う

問診は、患者の名前・年齢・性別・職業・住所などの基本情報を問うことから始まるが、患者が自らカルテに書き込むこともある。年齢と性別により体質は異なり、特に 女性には経・帯・胎・産など特有のものがある。

また疾病の発生は、職業に密接に関係し、例えば水中作業者は湿邪の影響を受けやすく、このような職業による病を職業病という。

そのほか、居住地の環境も疾病に密接に関係し、例えば単純性甲状腺腫はある地域の地方病でもある。

生活習慣を問う

患者の今までの生活習慣を聞くことは、疾病の診断に重要な意義がある。

日常生活、性格、経済状況などは、疾病の発生と進行に影響する。

  • 日頃明るい人の気血は調和する。
  • 几帳面または落ち込みやすい人の気血は滞りやすい。

偏食は臓腑の偏盛や偏衰に関わる。

  • 辛い物、お酒、肉を好む人は陽熱偏盛となる。
  • 冷たい物を摂りすぎると陰寒内盛となる。
  • 生活が苦しく過労の人には虚証がよく見られる。
  • 生活裕福で過食と運動不足の人は痰湿による疾病にかかりやすい。

家族歴および既往歴を問う

患者本人の過去に罹患した疾病や家族の健康状況を問うことは、伝染病や遺伝性疾患の診断に役立つ。

患者の日ごろの健康状況や既往歴は現在の疾病診断の参考となる。

例えば、もともと肝陽上亢を持つ人は肝陽化風になりやすく、癲癇(てんかん)にかかったことがある人は緊張や疲労で再発する可能性がある。日ごろ疲れやすい人は気虚証の可能性が高い。

発病を問う

これは、今回の疾病の発生、進展、治療などの全過程を聞くことである。

疾病誘発の原因が分かれば、疾病の性質を推測できる。

  • 冬に外感風寒で発病するものの多くは表寒証である。
  • 情志憂鬱で疾病になるものは肝気鬱滞である。

また、疾病経過の長短によりその虚実を判断できる。

  • 突然の難聴は肝火上炎(肝鬱などで鬱滞した気が火と化し、熱邪が肝経を上逆したことによって起こる)の実証に属するものが多い。
  • 聴力が徐々に低下するのは腎陰不足の虚証に属するものが多い。

過去の治療は現在の弁証投薬の参考となる。例えば、もし患者が清熱薬を服用して効果がなければ熱証ではなく、温熱薬を服用して症状が軽減すれば寒証に属する可能性が高い。

胃脘脹満で理気行滞薬を服用して症状がかえって悪化すれば、先ず気滞証を除外することができる。このように疾病に関する全ての経過を聞くことは正確な診断に重要である。

現病症を問う

これは問診の中で一番重要な項目で、弁証の主要な根拠による。中医学では現在の症状を聞くことを重要視し、その内容は極めて詳細である。明代の医学者である張景岳は古人の問診の要点を基礎に「十問歌」を編集した。その後内容は改修され、以下のようになった。

「一問は寒熱、二問は汗、三問は頭身、四問は便、五問飲食、六問は胸、七の聾と八の渇ともに弁じ、九問は旧病、十問は因……婦人は必ず経期を問い……再び片語を添えて児科に告げる」。

このように「十問歌」の言葉は簡潔であるが、的を射ているので、問診の参考となる。実際の臨床では型通りの問診ではなく、患者に重点的に聞くべきである。

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