中医学(中医学基礎理論・中医診断学・中医内科学)を詳しく説明する一般社団法人国際伝統中医学協会の「中医学大辞典」
オレンジの夕陽と海

むくみ(水腫)

水腫とは水液が体内に貯留するこ とにより、頭面、眼瞼、四肢、腹背及び全身に浮腫が生じる病証であり、重症の者では胸水、腹水を伴う。

原発性急性、慢性腎炎を含む各種腎疾患、慢性心不全(うっ血性心不全)、肝硬変、内分泌系機能障害(甲状腺機能低下症など)、栄養失調の際に浮腫が現れた場合は本証を参照する。

中医内科学/むくみ(水腫)の相関図

<弁証論治>

『丹渓心法』では水腫を陽水と陰水に分類している。その特徴は以下に要約される。

中医内科学/むくみ(水腫)の相関図

1.陽水

(1)風水氾濫

【症状】眼瞼浮腫、続いて四肢及び全身の浮腫、発病迅速、多くは悪寒、発熱、肢節酸痛、小便不利。

風熱に偏る者は、咽喉腫痛。舌質は紅、脈は浮滑数を伴う。

風寒に偏る者は、悪寒、咳、喘息。舌苔は薄白、脈は浮滑または緊を伴い、重症水腫の場合、沈脈をみる。

【証候分析】風邪襲表、肺失宣降、水道通調失調のため、小便不利、全身の浮腫をみ る。風は陽邪で、軽浮、善行速変、風水相摶のため、浮腫が顔面から始まり、迅速に全身まで及ぶ。

邪犯肌表、営衛不和のため、悪風、発熱、肢節酸痛をみる。咽喉腫痛、舌質が紅、脈が浮滑数は感受風熱の証候である。悪寒、咳、喘息、舌苔が薄白、脈が浮滑は感受風寒の証候である。陽気阻滞による重症浮腫では脈が沈をみる。

【治法】散風清熱、宣肺行水。

(2)水湿浸漬

【症状】全身水腫、押すと陥凹が出現、小便短少、身体困重、胸悶、食欲不振、吐き 気。苔は白膩、脈は沈緩である。本型には発病が緩漫、経過(病程)が長い特徴がある。

【証候分析】水湿浸漬肌膚、壅滞不行のため、肢体浮腫をみる。水湿内聚、三焦決瀆失司、膀胱気化失常のため、小便短少をみる。体内水湿が日増し、排出困難のため、肌膚に溢れ、水腫が増悪する。湿困脾胃、陽気不展のため、身重、精神疲労、胸悶、食欲不振、吐き気をみる。苔が白膩、脈が沈緩は湿勝脾弱の証候である。湿邪には粘膩の性質をもつため、経過(病程)が長くなる。

【治法】健脾化湿、通陽利水。

(3)湿毒侵淫

【症状】眼瞼に始まった浮腫が全身に及び、小便不利、全身発瘡。重症者では皮膚潰爛、悪風、発熱。舌質は紅、苔は薄黄、脈は浮数あるいは滑数である。

【証候分析】皮膚に瘡廱(そうせつ:できもの)が生じ、湿毒が即時に清解消散できないと、脾肺まで内伝する。中焦が犯されると水湿運化失司、昇降清濁失調、肺が犯されると通調水道不能のため、全身浮腫、小便不利をみる。風は百病の長であり、病の初期は多く風邪を挟むため、浮腫が眼瞼から始まり、悪風発熱の症状をみる。舌質が紅、苔が薄黄、脈が浮数あるいは滑数は、風邪と湿毒が挟む証候である。

【治法】宣肺解毒、利湿消腫。

(4)湿熱壅盛

【症状】全身浮腫、皮膚光沢、胸腹痞悶、煩熱口渇、小便短赤、大便乾結。苔は黄膩、脈は沈数または濡数である。

【証候分析】水湿内停、久鬱化熱、停滞肌膚のため、全身浮腫、皮膚光沢をみる。湿熱壅滞、気機失常のため胸腹痞悶が見られる。熱邪内盛、津液耗損のため、煩渇、小便短赤、大便乾結が現れる。苔が黄膩、脈が沈数または濡数は湿熱の証候である。

【治法】分利湿熱。

2.陰水

(1)脾陽虚衰

【症状】腰以下の浮腫が甚だしく、押しによる陥凹が回復しにくい、脘腹脹悶、食欲減退、溏便、顔色萎黄、精神倦怠、四肢の冷え、小便短少。舌質は淡、苔は白膩あるいは白滑、脈は沈緩あるいは沈弱である。

【証候分析】中陽不振、脾失健運、気化失司、下焦水氾のため、腰以下の浮腫が甚だ しく、押しによる陥凹が回復しにくい。脾虚失運のため、脘悶、食欲減退、腹脹、溏便をみる。陽虚失温のため、顔色萎黄、精神不振、四肢の冷えをみる。陽気不足、水湿不化のため、小便短少が見られる。舌質が淡、苔が白膩あるいは白滑、脈が沈緩あるいは沈弱などは脾陽虚衰、水湿内来の証候である。

【治法】温運脾陽、利水化湿。

(2)腎気衰微

【症状】浮腫が下肢から始まり、全身に波及し、腰以下の浮腫が甚だしく、押しによ る陥凹が回復しにくい。心悸、呼吸促迫、腰部冷痛酸重、尿量減少·尿量増加、四肢厥冷、寒がり、精神疲労、顔色灰滞あるいは㿠白。舌質は淡胖、苔は白、脈は沈細あるいは沈遅・無力である。

【証候分析】腎気虚衰、陽不化気、水湿下聚のため、腰以下の浮腫が甚だしく、押しによる陥凹が回復しにくい。水気上凌心肺のため、心悸、呼吸促迫が見られる。腰は腎の府であり、腎虚水気内盛のため、腰痛酸重をみる。腎陽不足、膀胱気化不利のため、尿量減少をみる。あるいは下元不固のため、多尿をみる。腎陽虧虚、命門火衰のため、四肢厥冷、寒がり、精神疲労がみられる。陽気不昇のため、顔色灰滞あるいは㿠白が見られる。舌質が胖淡、苔が白、脈沈細あるいは沈遅・無力は陽気虚衰、水湿内盛の証候である。

【治法】温腎助陽、化気行水。

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