中医学(中医学基礎理論・中医診断学・中医内科学)を詳しく説明する一般社団法人国際伝統中医学協会の「中医学大辞典」
オレンジの海

飲証

飲証は体内水液の 運化、輸送の失調により局所に水湿が停滞する病症である。

慢性気管支炎、喘息、浸出性胸膜炎、胃腸機能失調、幽門狭窄、腸閉塞などの治療に は本証を参照する。

中医内科学/飲証の相関図

<弁証論治>

飲証の弁証基本は陽微陰盛、本虚標実である。本虚に対して補虚法、実証に対して逐飲法を用いる。

1.実証

(1)飲留胃腸(痰飲)

【症状】院腹堅満、痛み、胃あるいは腸に振水音。あるいは下痢を伴い、下痢後に院腹堅満が緩和しない。舌苔は白膩、または微黄である。あるいは便秘、排気なし、口舌乾燥、舌苔は黄厚である。

【証候分析】飲邪が胃腸に伏すため、胃あるいは腸に水の音(振水音)をみる。重症者では院腹堅満、痛みをみる。飲邪内伏。飲邪壅盛のため、下痢後に院腹堅満が緩和されない。 舌苔が白膩、あるいは微黄は、飲邪が化熱してない、あるいは熱象が微弱である。便秘、排気なし、口舌乾燥、舌苔が黄厚は、飲邪化熱、穢濁相摶、大腸壅塞の証候である。

【治法】攻下逐飲 。

(2)飲停胸脇(懸飲)

【症状】胸脇脹痛、咳、運動・呼吸時に痛み増悪、肋間飽満、気短、呼吸困難。舌苔は白、脈は沈弦である。

【証候分析】飲停胸脇、脈絡不通、肺気鬱滞のため、胸脇脹痛、咳、運動、呼吸時の痛みの増悪をみる。飲邪迫肺、肺気不降のため、気短、呼吸困難をみる。舌苔が白、脈が沈弦は飲邪内結の証候である。

【治法】攻逐水飲。

(3)飲犯胸肺(支飲)

【症状】咳、喘息胸満。重症:横臥困難、痰白、泡状、量多、久咳で顔面浮腫。舌苔は白膩、脈は弦緊である。支飲は経過が長く反復発作する。寒邪で誘発されることが多く、発作初期には悪寒身痛などの表証をみる。

【証候分析】

飲犯胸肺、肺気上逆のため、咳、喘息、胸満。 重症:横臥困難、痰白、泡状、量多をみる。久咳で飲邪が随気上犯するため、顔面浮腫をみる。舌苔が白膩、脈が弦緊は寒飲内盛の証候である。飲邪内伏のため、往々にして寒邪で誘発される。

【治法】温肺化飲。

(4)飲溢四肢(溢飲)

【症状】四肢重滞、関節痛、重症:四肢浮腫、無汗、悪寒、口渇無し、あるいは咳喘、痰白、泡状、量多。舌苔は白、脈は弦緊である。

【証候分析】飲流四肢、風寒犯表、腠理束縛のため、無汗、四肢重滞、関節痛。重症:四肢浮腫をみる。同時に風寒表証をみる。飲邪迫肺のため、咳喘、痰白、泡状、多量をみる。口渇無し、舌苔が白、脈が弦緊は表里兼寒の証候である。

【治法】温散化飲。

2.虚証

(1)脾胃陽虚

【症状】胸脇支満、院腹喜温喜按、胃中に水音、背部局所に寒涼感、水を欲しがらない、あるいは少量の温かいものを飲む、あるいは飲後即吐、嘔気、清水嘔吐、動悸、気短、眩量。舌苔は白滑、脈は弦細、滑である。

【証候分析】脾胃陽虚のため、院腹喜温喜按をみる。水飲内停のため、水音をみる、水を飲みたがらない、あるいは少量の温かいものを飲む、あるいは飲後即吐、嘔気、清水を嘔吐す る。陰邪内阻、陽虚不展のため、背部局所寒涼感、眩彙をみる。飲凌心肺のため、胸脇支満、動悸、気短をみる。舌苔が白滑、脈が弦細、滑は陽虚飲停の証候である。

【治法】温脾化飲。

(2)脾腎陽虚

【症状】寒がり、四肢の冷え、下腹部拘急、臍下に拍動感(臍下悸)、呼吸短促、小便不利、あるいは唾液を吐く、眩暈。舌質は胖大、苔は白膩、あるいは灰膩、脈は沈細である。

【証候分析】久病及腎、あるいは高齢者で腎陽不足、温煦不能のため、寒がり、四肢の冷え、下腹部拘急をみる。腎虚で気化不能により、水が臍下に蓄積するため、臍下の拍動感、小便不利が生じる。ひどい場合は、飲邪上逆のため、唾液を吐き、眩暈をみる。腎不納気のため、呼吸短促をみる。苔が白膩、あるいは灰膩、脈が沈細は陽衰飲停の証候である。

【治法】温腎化飲。

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