中医学(中医学基礎理論・中医診断学・中医内科学)を詳しく説明する一般社団法人国際伝統中医学協会の「中医学大辞典」
胃

胃は胃院とも称し、上は食道に連なり、下は小腸に接する。胃は上、中、下の三部に分けられ「水穀の海」といわれている。脾と胃の経脈は、互いに絡属して表裏関係をなしている。

位置と形態:

上腹部にあり、袋状である。胃の上部は上院と呼ばれ、貰門にあたり、胃の中部は中腕と呼ばれ、即ち胃体の所であり胃の下部は下院と呼ばれ、幽門にあたる。

主な生理機能:

水穀の受納、腐熟を主る 。 胃は通降を主り、胃気は降を和とする 。

水穀の受納、腐熟を主る

受納とは、受け取って納める意味であり、腐熟とは、飲食物を胃の第1歩の消化によ って食度にすることを意味する。飲食物は口から食道を経て、胃に収納される。胃が「太倉」「水穀の海」と称されるのもこのためであり、収納された水穀はここで腐熟、消化された後、下の小腸ヘと送られていく。

このとき消化によって得られた水穀の精微は、脾の運化作用によって全身に輸布される。脾胃の消化機能を要約して「胃気」と称し、また消化作用で得られた水穀の精微が全身を栄養していることから、脾胃を「後天の本」「水穀気血の海」ともいう。

中医学で日常の食事、消化吸収について特に重要視している。また中医学には、古くより重病人の予後判定についての「有胃気則生、無胃気則死」(胃気があれば生となり、胃気がなければ死となる)という言葉があるが、これはすなわち、重病人の食欲があるかないかの差は、そのまま生死の差でさえあるという意味である。したがって重要な治療原則の1つに「胃気の保護」が挙げられるのも、このためである。

胃は通降を主る、降を以って和とする

「水穀の海」である胃は、飲食物を受納し腐熟した後、これを小腸に送り、さらに消化、吸収させる働きを持っている。このことから胃は「通降を主る」といわれているが、胃の通降作用には、小腸で泌別(清と濁を区別すること)された飲食物中の残渣をさらに大腸に伝導するという降濁の作用も含まれている。降濁することによって胃は新たな飲食物を受納することになる。

したがって胃の通降作用によって胃自体の生理機能を調和させており、このことから「降を以って和とする」といわれている 。胃の通降作用が失調すると、食欲に影響が及んだり、濁気が上昇して口臭が現れたり、胃院脹痛、便秘などの症状が現れる。これに加えて胃気上逆の状態になると、酸腐した曖気が出たり、悪心、嘔吐、しゃっくりなどの症状が見られる。

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