中医学(中医学基礎理論・中医診断学・中医内科学)を詳しく説明する一般社団法人国際伝統中医学協会の「中医学大辞典」
望神

望診

望神(精神をみる)

神は、広義の神と狭義の神に分けられる。広義の神とは、人体の生命活動の総称であ り、人体生命活動の現れであり、すなわち生命である。
狭義の神とは、人体の精神活動であり、精神・思惟・意識・記憶・睡眠などが含まれる。望神はこの二つの神を含む。

望神の原理と意義

神は、人体生命活動の具体的な表現であり、形体を離れ独立しては存在しえず、形があってこそ神がある。
形が健全ならば、神も旺盛であるし、形が衰えれば、神も困憊する。「素問」の「形神合ー」と「形与神倶」という理論は、形と神の関係を示している。神の盛衰は、人体が健康か否かの重要な指標の一つである。
神は先天の精より始まり、その後、後天の精の滋養に頼る。
「霊枢」は、「生之来謂之精 、両精相摶謂之神」といい、また「神とは水穀の精気である」という。つまり、神は、先天の精と後天の気血精微を物質基礎とし、臓腑組織の働きとして現れる。
精・気・神は、体の三宝と言われ、共存共栄と共亡同衰のように密接に関係する。精気が充足すれば、体が健やかで神が 旺盛であり、すなわち健康の保証となる。反対に、精気が不足すれば、体が弱まって神が衰え、不健康のもととなる。
要するに、神は体の生命活動を現すものであり、したがって「霊枢」は「失神者死、得神者生」と述べている。

望神の主要内容

神は、体の主宰なので、いろいろな生命活動に現れるが、外見では目、表情、顔色、動作などに見られる。
特に目は心の窓とも言われ、人の精神活動は往々にしてに無意識に目に現れるので、目は神を伝えることができると言われる。
したがって、望神をする時、先ず目を見るべきである。
神は、言語、呼吸、食欲、脈象など各方面にも示されるので、神を知るには、望神のみに頼らず、聞診・問診・切診を合わせて総合的に見なければならない。いわゆる「言之有神」、「声之有神」、「脈之有神」などと言われる。

神の表現

1.得神

得神は神があることいい、すなわち精充・気足・神旺の表現である。得神は健康の現れであり、または病になっても、正気がまだ損傷されていないので、軽病である。
得神としては、意識明晰、言語流暢、目が明るくて精彩に富む、顔色は血色あり、表情が豊富で自然であり、反応が速い、動作自由、呼吸平穏、筋肉が衰えずなどがある。

2.少神

少神は、神気不足とも呼ばれ、これは正気の不足によるものであり、虚証の場合によく見られる。
少神には、精神不振、顔色無華(血色ない)、声が低い、少気懶言(喋るのが億劫)、倦怠無力、動作遅緩などの症状が現れる 。

3.失神

失神は、無神ともいい、すなわち神気が喪失してしまうことである。これは、精虧・気損・神衰の現れである。
失神は、病が重い状態に至ったことを示し、臓腑機能が極めて衰弱したり、乱れたりして、その予後は良くないことが多い。
失神の表現は、息切れ、呼吸困難、精神萎靡、顔色晦暗、両目呆滞、表情漠然、反応遅鈍、言語錯乱、あるいは意識不明、神昏(意識昏迷)譫語、循衣摸床(混迷状態で、衣服や布団の縁をまさぐること)、撮空理線(意識不明瞭、両手を空間に伸ばして何かを取ろうとするようなしぐさ)など症状が見られる。

4.仮神

仮神とは、重体に陥る患者が、突然一時的に良くなるように見える仮象が現れることである。これば死ぬ前の前兆であり、本当の好転の徴候ではない。
仮神の現れとしては、本来昏睡状態に陥った患者が、突然、意識が覚醒し、親戚に会いたい、または元々晦暗の顔色が、急に化粧されたように赤くなり、全然食欲のない患者が、突然食べた<なるなどのケースが見られる。
これらの異変は、体内精気が極めて衰弱し、陰不斂陽で虚陽が外に離脱してしまい、一時的に「好転」の仮象が現れたものである。これは、灯火が消えようとする寸前に一度光が明るくなることに似ており、「残灯復明」や「回光返照」にたとえられる。
得神、少神、失神、仮神の神は、広義の神に属し、それらの鑑別は下表を参照する。

得神、少神、失神、仮神の鑑別

5.神乱

神乱とは、神志(精神)の乱れであり、すなわち精神錯乱、神志異常のことである。
その中には、抑鬱、煩躁、恐怖不安、表情漠然、認知障害、癲(てんかん)、狂、癇癪などの病症が包括される。

煩躁は、イライラすることであり、熱が神明を擾乱する(乱す)と考えられ、すなわち「熱擾心神」である。常に不眠、気が短くて怒りっぽいなどの症状を伴う。
恐怖不安は、通常では恐怖の対象とならない物事に強く不安を抱いて恐れたり驚いたりする病症である。
劣等感、自信喪失、動悸、発汗、不眠、食欲不振、性欲減退、下痢あるいは便秘などの症状も見られる。心胆気虚が多いが、肝気鬱結、痰湿などが原因で起ることもある。

癲病は、沈黙寡言、表情が漠然、抑鬱、独り言、突然泣いたり笑ったりする、認知障害、妄想幻覚などの症状が見られる。これは、痰迷心竅(水分代謝の異常産物が心に詰まり、意識の混濁や胸苦しさが起こること)、心脾両虚(心血と脾気の不足)などの原因が考えられる。

狂病は痰火擾心(痰火が上って心神を擾乱(乱れ騒ぐ)する)によるものである。その現れは、怒鳴る、人を殴ったり物を壊したりする、高所に登って歌ったり踊ったりする、裸で走り回る、誇大妄想、多弁、自信過剰、異常に自尊心が高い、少眠不飢など行動の活発化と気分の高揚などが見られる。

癇病は、一種の発作的な精神異常である。その症状としては、突然失神して顔色が蒼白くなり、目を見開き、ひどい場合は、突然倒れて、涎沫(ぜんまつ:痰と唾)を吐き、目がつりあがり、歯を食いしばり、四肢痙攣、羊のようなうめき声をあげるなどが見られる。発作後は正常に戻るが、発作を反復することがある。多くは肝風挟痰・蒙蔽清竅によるもの、または痰火擾心・肝風内動によるものである。

  • 肝風挟痰…肝陽が亢じ風痰を生じ清竅(身体上部にある穴)を乱す
  • 蒙蔽清竅…身体上部にある穴(目・耳・鼻・口)を惑わす
  • 痰火擾心…痰火が上って心神を擾乱する
  • 肝風内動…肝は風木の臓で、陽熱亢盛あるいは陰虚・血虚で化燥する

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